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【翻訳記事】
『マインドレスからマインドフルネスへ

(ライアン・ニーミック博士)

(前回までのメルマガは こちらから ご覧ください)
 

 

あなたの悪い習慣に変化を与える方法を学びましょう。

まずはあなたの「悪い」習慣や癖を1つ選びます。あなたが日々悩まされ、煩わしく思っている毎日の習慣や癖の中から1つを選ぶのです。

次に、そうした習慣や悪癖に対し、それを上回るほどのマインドフルネスをどう用い、同時に強みをどう使うのか、その方法についてじっくり考えてみましょう。

最後に、行動を起こす際には強みとマインドフルネスを「自動操縦」で使ってみるのです。


「マインドレスからマインドフルネス」というこのエクササイズは、私の著書「マインドフルネスと人格の強み:繁栄への実践ガイド」(未邦訳)の中で紹介しているエクササイズの1つです。
 

<このエクササイズの基本的背景は?>

習慣とは、無自覚的なものであり、意識的な自覚をあまり必要とせず自動的に働くものと定義できます。

これはいわゆる「自動操縦」として理解できるでしょう。ちょうど良い具合の飛行スピードで飛行機を操縦するとき、パイロットは飛行機が自動で飛行できるよう自動操縦をオンにするでしょう。

私たちの習慣もそれと同じです。

私たちの自動操縦マインドが優勢になると、それは習慣に直結し、心がおもむくところに自動的に飛んで行ってくれるのです。

こうした心の習慣をもっと理解することで、私たちはベストと思われる方法で、より賢い行動を取ることができます。

いわば、より大きな美徳や幸福、他者への気遣いをもたらす方に向かうよう、もっと自分をコントロールできるようになるのです。


 

<エクササイズを始めるための具体例>

悪癖や悪い習慣を選ぶとき、無自覚的な振る舞いが起こりがちな状況を考えてみましょう。

とっさにカッとなったり、いら立ったり、止めたくても自分ではどうにもならない態度が現れてしまう状況について考えてみます。

例えば、しばしば夫婦ゲンカになる状況とか、これまで数えきれない程同僚たちとピリピリした議論をくりかえした状況とか、夜につい食べすぎたり飲み過ぎたりする悪い習慣とか、子供を怒鳴りつけ、無理矢理おとなしくさせてしまう時のこととか、通勤中は毎回不安やストレスを感じてしまうなど、さまざまな状況を考えてみるのです。


 

エクササイズ1

ステップ1:ここでは「私の夫と議論するときの私のパターン」を選んでみます。

どうやら私たちは毎日ちょっとした不一致やもめごとを起こしているようです。そんなとき、会話の75%がこうした言い争いで占められています。

ステップ2:このとき活用するのが、「マインドフルに(意識的に)聞く」ことです。その際、取り上げるのが、公平さの強みです。

ステップ3:私たちが意見の不一致に陥るごとに、私はしゃべるのを一旦止めて、聞く事に集中します。

これにより私は、夫の言葉にとっさに反応しがちな傾向があることに気づくことができます。

さらには、夫の話を聞きながら意識がどこか別のところに行ってしまったり、何かカチンとくることが出て来たときには、言葉の奥に秘められたメッセージや言葉の中にひそむ夫の「心」を聞くように注意を払うことにも、つながっていきます。

公平さの強みを使い、夫に言葉を畳み掛けるより、彼の言葉を「聞く」事を優先して行います。自分が話す時と同じか、それ以上の時間を夫に与え、彼が被ったかもしれない「不公平さ」に意識を向けてみます。

というのも普段は、自分自身に対する公平性により注意を向けているため、ここでは夫の方にその公平さを向けてみるのです。


 

エクササイズ2

ステップ1:今度は、カロリーの高い食事を夜の間に摂り過ぎたり、スナック菓子をつい口にしてしまう傾向を選んでみます。

ステップ2:ここで行うマインドフルネスは、「マインドフルに食べる」です。 ここで取り上げる強みは、好奇心です。

ステップ3:私はつい食べ過ぎてしまう時間帯は、夜だということを知っています。そこで毎晩、恒例の夜のおやつの前に、好奇心の強みを使い始めることにします。

私は、自分の好奇心を内側に向け、そこで何が起こっているか探ってみることにします。

自分が今感じている事、ストレスのレベル、その日の起こった事、そして自分の心がどこをさまよっているのか、そうしたことに好奇心を向けるのです。

私はおやつを一つ取り出し、五感のすべてを使って、ゆっくりと注意深く味わいます。

味覚を味わいながら、その食べ物がどこから来たのか、それは私の体にどんな影響を与えるのか、私はどう感じるのかを、強い好奇心を保ちながら、じっくり探ります。

意識がどこかへフラフラと行ってしまう時にはそれに気づき、もう一度、自身の好奇心とじっくり味わうことに意識を戻していくようにします。


 

<大切なヒント>

この 「マインドレスからマインドフルネスへ」のエクササイズは、あなた自身の「自動操縦マインド」をターゲットにしています。

言い換えると、とりとめなく気が散ってしまう心の傾向や心の反応に焦点を当てているということであり、あなたはそれを確認しておくことができるのです。

「自動操縦」に注意を向けることで、それをコントロールすることができます。これは、他人の行動を変えようとすることとは異なります。

 

メリットは何ですか? このエクササイズは、あなたの習慣や悪癖を引き起こすパターンを理解するのに役立つだけでなく、マインドフルネスと強みを活用する、より賢い方法も与えてくれます。

マインドフルネスと強みを使って、問題を「毛布でくるんでしまう」というものではなく、マインドフルネスと強みの、ほど良い「適用量」を学ぶのに、このエクササイズは役立ちます。

ある状況では、特定のタイプのマインドフルネス(例えば、マインドフルに話すなど)が求められるでしょうし、また別の状況では、一定の強度や持続時間、または使用頻度など(例えば、長めに強みを使ってみるとか、マインドフルネスの実践を集中的に行ってみるなど)が求められることでしょう。

 

このエクササイズを定期的に(例えば毎日)実践することで、自身の美徳を涵養する方に意識がシフトしていることや、強みをもっと日常的に使うこと、そのためにマインドフルネスを活用することに気づいていくでしょう。

 

<最後に>

マインドフルネスへの従来型のアプローチでは、黙想の実践に焦点を当てていました。

そこでは、一定の期間、自身の呼吸に意識を向け、自分の心がさまよいだした時は、意識を再び呼吸に向け、そこに戻るようにしていました。

これは非常に素晴らしい実践です。

が、すべての(宗教的またはその他の)儀式的なことと同様、ただ単に1週間に1度、教会で教義を実践したり、瞑想クッションの上に座っているだけの中に、何か良いことはあるでしょうか?

個人的には、ここでご紹介したようなマインドフルネスや強みのワークから、より多くのものが得られるのではないかと私は思っていますが、みなさんはいかがでしょう?

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著者紹介

 

ライアン・ニーミック博士「(Ryan Niemic, PhD)


VIA研究所 教育ディレクターで、強みにおける研究の第一人者。VIA診断書やVIAの教育コースの開発に携わり、世界各地のポジティブ心理学会議で講演・研修を行う。
臨床心理の資格者でもあり、VIAの人格としての強みの知見を臨床、カウンセリング、コーチング、コンサルティングの仕事にも活用している。
また、強み研究とマインドフルネスを統合した8週間プログラム『MBSP(Mindfulness based strength practice』の開発者でもある。
著書は『Mindfulness and Character Strengths: A Practical Guide to Flourishing』『Positive Psychology at the Movies』などがある。

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訳者紹介

 

吾郷智子(あごうともこ)

早稲田大学第一文学部にて心理学を学んだ後、学校教育、企業人事に携わった後
イーストロンドン大学にて応用ポジティブ心理学修士課程を卒業。
現在は、ウェルビーング研究を行う傍ら、ポジティブ心理学に関する講座、研修なども行っている。

 

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【ニーミック博士の講座のお知らせ】

当スクールの5周年企画として、ライアン・ニーミック博士を2017年秋にお招きして特別講座を行います。この機会に、VIA強みの第一人者から学んでみませんか?

『MBSP - 強みとマインドフルネス実践講座』

日程:8/27, 9/17, 18 10:00 - 18:00
会場:東京・田町(8/27)、九段下(9/17,18)
HP: http://www.positivepsych.jp/mbsp.html

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